それはなぜ撮影、投稿されたのか?

小林顧問

 日本相撲協会の顧問がパチンコ業者との肖像権に関わる契約を巡って
現金を受け取る動画がインターネットに流出している問題について、
相撲協会は6日の理事会で協会の「危機管理委員会」(委員長=宗像紀夫
東京地検特捜部長)が、情報収集に当たることを確認した。

 理事会では、九重事業部長(元横綱千代の富士)が調査を求めた。
動画には、50代の協会顧問が業者との仲介をしていた広告会社男性から
現金を受け取る映像が映っていた。理事会後、九重親方は「名前が
出てきた人(協会顧問)のためにも、ちゃんと調査をすればいい」と語った。

 危機管理委員会の宗像委員長は「協会のコンプライアンスやガバナンスに
つながる問題であれば、きちんと公平中立に(調査を)やる必要がある」としている。

 相撲協会を所管する内閣府の担当者は、「すでに協会に問い合わせを
している。まずは事実関係の把握をしたい」と述べた。

2日に動画サイト「YouTube」に投稿された、日本相撲協会の裏ガネ授受映像。相撲協会顧問
兼危機管理委員で、北の湖理事長(60=元横綱)の右腕といわれるX氏が、協会とライセンス契約を
結んだパチンコメーカーとの契約に関する裏ガネを受け取る様子が赤裸々に映されている。

 新公益法人制度への移行の認可を待っている相撲協会にしてみれば青天のへきれき。
てっきり対応に追われていると思われたが…。

 日刊ゲンダイ本紙の取材に広報部職員がこう答えた。
「動画についての見解ですか? すみません、それは何とも…。今は本場所中なので、
そうした話はしていませんので。今後話し合う予定? さあ、それは…。少なくとも、こちらから
何か発表する予定はありません。もし、何か決まればアナウンスはします。今は協会一丸となって
本場所を盛り上げていこうというので…。本場所が終わったら話すか? いや、それもまだ
何とも言えません。今は本場所中なので…」

 相撲協会は税金を優遇されている公益法人。社会に対する責任も大きく、新制度への認可が
取り消しになってもおかしくない不祥事だ。場所うんぬんに関係なく、即座に対応するべきじゃないのか。

 そんな相撲協会とタッグを組んでいるのがマスコミだ。 ある角界関係者が話す。

「この動画は担当記者たちの間でも話題になっていた。しかし、相撲協会とべったりの彼らは
知らんぷり。真相を究明する気などさらさらない。協会内やマスコミ内の良識派は少数のため、
動くに動けないようです」

 この動画について最初に触れたのは25日付の日刊ゲンダイ本紙。それ以外は各社見て
見ぬふりを決め込んでいる。

 500万円の札束を手に、「北の湖にバレると中止せなあかん」と話すX氏。「本場所中だから」と
対応しない相撲協会はもちろん、マスコミ各社も結果的にX氏の片棒を担いでいる。相撲界は
腐りきっている。